「うつ病」は気分障害の一つで、何をしても楽しめない、一日中気分が落ち込んでいる、原因と思われる問題を解決しても気分が回復せず、眠れない、食欲がない、疲れやすいといった身体症状が現れ、2週間以上、日常生活に支障が出ている状態を指します。

罹患率は100人中6人、女性の方が男性より1.6倍多いことが知られています。

うつ病と双極性障害(躁鬱)は治療法が大きく異なるので、上記の症状が思い当たる人は専門家による判断が必要です。また、貧血や甲状腺の病など他の病の症状が、うつ病と間違われることもあります。気になる人は早めに相談しましょう。

うつ病の治療は、主に抗うつ薬の使用です。薬物治療の他に、認知行動療法、対人関係療法などの専門的な治療法があり、効果が認められています。また、うつ病は、しっかり休息をとることや軽い運動によって症状が軽減することもあります。

 

さて、アーユルヴェーダではうつ病をどのように捉え、対処するのでしょうか。

肉体的、精神的病の原因について「時と知性と感覚器官の対象との誤った結合、結合の欠如、および過度の結合が、精神と体の二つの期待を持つ人間の病気の原因となる」と記載があります。

「時」との誤った結合、結合の欠如、過度の結合とは、季節に沿った過ごし方をしていない、不適切な時間にとられる食事、睡眠、性行為、飲酒、運動、またそれらが過少、あるいは過度であること

「知性」との誤った結合、結合の欠如、過度の結合とは、嘘をつくなどして心に葛藤を生むこと、感謝の念や祈り、思いやりのないこと、怠惰や無関心など知性を使わな過ぎること、心配、悲哀、嫉妬、執着、怒り、傲慢さなどが過剰なこと

「感覚器官の対象」との誤った結合、結合の欠如、過度の結合とは、古い食べ物(作られてから時間が経っているという意味でインスタント食品、缶詰、加工食品も含む)や人の食べ残しを食べること、穀物や旬の果実など新鮮で有益な食べ物を食べていないこと、家の中に十分な通気と採光がないこと、ホラー映画や残酷なニュースなど刺激の強過ぎるものを見ること、酒・タバコ・コーヒー・化学調味料・発酵食品・炭酸飲料など刺激の強いものの取り過ぎ、過剰な辛・塩・酸をとること等

このようなことが原因となって肉体的、精神的病を引き起こすので、自分の体質や傾向をよく考慮して、これらとは反対の行動を習慣的に行うことが予防と改善になります。

 

【症状別対処策】

  • 不安や心配の強い不眠症

オイルマッサージ、ごま油を用いたナスヤ、シローダーラー、アシュワガンダー、ツボクサ、ショウブ、カンゾウなどの脳の働きに良いハーブの使用

  • 怒り、競争心、上下関係を気にする、イライラの強い不眠症

ギーのナスヤホットミルク(ギー、カルダモンを加えても良い)、ココナッツオイルのマッサージ、ローズウォーター、ココナッツウォーター、キュウカンバウォーター、牛乳やヨーグルトのシローダーラー、熟した果実(ぶどう、モモ等)、真珠を身につける、樟脳(カンファー)、白檀のお香

  • 倦怠感、重い感じ、過剰な睡眠

プチ断食、運動、食後の散歩、早寝早起き、朝に暑めのシャワーを浴びる、生姜、作りたての食事、ハチミツ、ムング豆、野菜中心の食事、ミントやローズマリーなどスーッとするアロマ、断捨離、中古品や欠けた食器、ほころびた服などを避ける

  • 不安神経症、パニック障害

オイルマッサージ、ホットミルク(生姜、サフラン、ナツメグを入れるとより効果的)、ギー、アーモンドミルク、白湯を積極的に飲む、ヨーガ、呼吸法、瞑想、規則正しい食事と睡眠

 

うつ病の治療として、体力がある場合は浄化療法の催吐法、催下法、経腸法が適応される場合もあります。

また、賭け事から遠ざかり、祈り、参拝などを習慣にすることも鬱病の予防と改善に勧められています。