アーユルヴェーダでは性生活についてどのような説明をしているのでしょうか。

性行為はかなりのエネルギーを消耗しますので、すでに体力の消耗している夏には頻度を減らし、病気の時は勿論、病気の回復途上でも控えるように教えられています。妊活中の人は特に、日頃から生殖組織の質をよくする食事をとることが勧められています。

これは精子と卵子の質を良くして健康な子供を設け、老化を遅らせることにもなります。ですから妊活に限らず、アンチエイジングにも有効な話題です。

男性の場合、酸味・塩味・辛味、アルカリ性のものをとり過ぎると、性液の質を下げ精力を減退させるので気をつけましょう。お勧めの食材は赤米、牛乳、ギー、菓子類です。

女性の場合、酸味・辛味を控えめにして、ウラッド豆、米、ゴマ、シャターワリーをとることが勧められています。

生活習慣では、夜更かし、便秘、射精を我慢することは良くありません。

勧められることは、適切な睡眠、木々の緑、草花、オイルマッサージ、沐浴、おしゃれ、香水、美味しい食事、適量のアルコール、親しい友人との語らい、音楽など気持ちをリラックスさせ、楽しくなること全てです。

また、心配事や不安があると精力は減退します。妊活中であってもパートナーがストレスを抱えている場合は、まずは相手の状況を理解して受け入れ、お互いにとって良いタイミングを待ちましょう。

性行為では空腹、喉の渇き、排尿、排便など自然衝動を我慢してはいけませんので、心配のないようにしておきましょう。

アーユルヴェーダでは受精の瞬間に子供のドーシャが決定すると言われています。両親ともに清潔で喜びの状態にあるべきです。どちらかが悲しみや怒りを感じている状態では性行為をしてはいけません。

サンスクリット語にプラサーダという言葉があります。お寺で儀式の際に捧げられた供物のお下がりの意味でよく使われていますが、行為の結果として実ったもは全てプラサーダです。

ですから、子供もプラサーダです。供物のお下がりが子供なら捧げられるものはなんでしょうか?ここでは「行為」が捧げものになるのです。

ヴェーダの文化では食べることも、眠ることも、性行為も、全ての行いが儀式と見なされます。古臭く、宗教的に感じられるかもしれませんが、これはとても理論的で知的な理解です。

原因と結果は無作為に、支離滅裂に、偶然に実を結んでいるわけではありません。そこにはいつも原因と結果を結ぶ法則が等しく働いています。

私たちは行いをするかしないか、するならどのようにするかの選択(行い)はできても、その結果を実らせるのは個人のお手柄ではありません。

個人が子供を作りましたか?性行為という行いはしましたが、子供という結果を実らせたのは個人ではありませんよね。私は爪や髪の毛一本すら作れません。ましてや肉体と考えが重なり合い、色とりどりの個性が生まれてくるという驚きには頭を下げずにいられません。

ですから、全ての結果を実らせこの世界を成し遂げている原理や秩序に対して、行為を通して間接的な祈りを捧げるということなのです。

私たちには全てが与えられています。空気、水、食べ物、家、服から始まり、体、考え、感性、役割だってそうです。そのことの理解からくる感謝が行為として捧げられるのです。