ヨーガでは手で交互に左右の鼻孔を押さえる呼吸法があります。

この呼吸法をしていると、どちらかの鼻が詰まっていることに気がつきます。鼻の粘膜がうっ血して膨張することで鼻の詰まりを感じます。

私たちは2つの鼻孔がありながら、両方の鼻孔で同じように呼吸していることはほとんどなく、通常どちらかの鼻の穴の通りが良くなっています。

この鼻の詰まりには周期があり、人によって異なりますが1時間〜3時間の間隔で交互に替わります。このリズムはネズミやウサギにもあります。

毎日決まった時間帯に左右が開く人もいれば、左右に開く時間が少しずつずれていく人もいます。また、右鼻優位(右鼻の通りが良い)や左鼻優位の人がいます。

鼻粘膜のうっ血は自律神経の中の交感神経に支配されています。交感神経が高まるとうっ血が取れて鼻の通りが良くなります。鼻周期が存在することは、交感神経が対構造になっていて、規則的に左右で交互に緊張度が変化することを意味しています。

ですから、極度の緊張状態(交感神経優位)では酸素をたくさん脳に届ける為に両鼻の通りが良くなり、心身が休んでいる(副交感神経優位)と、片鼻も休みます。

息をこらえれば、交感神経が優位になるので両鼻の通りが良くなります。

ヨーガの呼吸法で左右交互に規則的な呼吸と息こらえをした後に、心は穏やかで落ち着いていながらも思考がすっきりとして冴えている感覚を味わうのは、ある種の神経的なバランスが整うからだと思われます。

生理学的に見ると、ヨーガの呼吸法で息をこらえるのは、胸腔内圧を上げたり下げたりして自律神経に働きかけてバランスを整える為だということになります。

別の言い方をすると、呼吸法の後の心地よさと静けさは、陰陽のバランスが取れている時の身体感覚です。

皆さんが練習しているハタヨーガのハタは太陽と月に代表される「陰陽」の意味です。交感神経と副交感神経も陰陽のエネルギーと言えるのではないでしょうか。

集中力を上げたい時、考えを鎮めて冷静さを取り戻したい時、考えがまとまらない時、リラックスして一つの事に熟考したい時に、呼吸法はとても良いツールとなります。