アーユルヴェーダ  生命の知識 
アーユルヴェーダとは、有益な人生・無益な人生、幸福な人生・不幸な人生人生にとって有益なこと・人生にとって無益なこと人生の長さ・人生そのものについて説かれているもののことをいう。チャラカ・サンヒター第1巻第1章41

アーユルヴェーダは単に病気を治療するという医学にとどまらず、心身ともに健康で、幸福で、有益な人生をおくるためにはどうしたらいいのかという事を説明しているユニークな医学です。

アーユルヴェーダは「自然と調和して暮らす」ということを非常に重視しています。自然との調和を失う事は身心のアンバランスや病気を誘います。
個人の体や考えも、地球やそれを含む宇宙全てに自然の法則が働いています。
アーユルヴェーダは、自然と調和する方法を教えますが、それ自体が目的なのではなく、人間として生まれてきた目的を叶えるための手段となります。
人間が求めるゴール アルタ・カーマ・ダルマ・モークシャについては、別の機会に…
病気…「病は気から」
自己否定感、価値基準の混乱から、個性の欠陥が突出して、肉体や精神に不調和が現れたもの。

 

・怒らない
・疲れすぎない
・暴力を振るわない
・残酷でない
・自我を誇大しない
・考えや話などが複雑でない
・冷静でいる
・人に喜ばれるように話す
・強い忍耐力を有する
・常に親切である
・常識をわきまえる
・場・時・量のことをわきまえる
・真実を話す
アーユルヴェーダによる健康とは単に病気の身体的症状が取り除かれた状態をいうのではなく、心と魂も幸福な状態でなければ健康とはいえません。
また、西洋医学と違ってアーユルヴェーダでは、病気になる前の「未病」の段階を、更に細かく分けて診ます。
未病の第一歩は「蓄積」といって、消化されずに体に残った未消化物が、体の経路(血管やリンパ管など)を詰まらせます。それによって心身の不調が起こります。


「汚れた布にはいい色がつかない」 
布は着色する前に良く洗った方がいい色がつき、それが長持ちすると言われています。
若返り、老化防止もこれと同じで、どんなに良い生活をしても、汚れた体のままでは、素晴らしい効果が表れません。
アーユルヴェーダでは、病気を切除して健康になろうとするのではなく、浄化療法で老廃物を排泄し、体の中をきれいにし、その人が持っている自然治癒力を最大限に引き出します。 
アーユルヴェーダは、病気になってからの治療法だけではなく、健康な人の為の健康維持・増進、アンチエイジングの知識が全体の半分を占めます。
ほとんどの病気の原因は守るべき食習慣や生活習慣を守らなかった事にあると考えています。一人一人の体質、年齢、季節、時間帯の特性を知り、上手にバランスをとる生活術を紹介しています。
「腹八分目は医者いらず」
消化力に合わせて食べることで、効率よく栄養が吸収され、エネルギーに変換されます。
誰でも1日に使えるエネルギーの約60%は消化に使っていると言います。もしそこに食べ過ぎ、消化に負担がかかる食事(揚げ物、乳製品、生の魚、ジャンクフードなど)を摂っていれば1日のエネルギーのもっと多くを消化につぎ込んでいることになります。
ですから、いかに消化に負担をかけない食べ方や生活を行うのかというのがキーワードになります。アーユルヴェーダでは食後ゆっくりすることで消化・吸収を促すことを進めています。かといっ て寝てしまうと消化できませんので、体を休めたり、軽く散歩したりしながらリラックスして過ごすことをすすめています。
・朝 少なめ 昼 多め 夜 中間
・夏 少なめ 軽め
・空腹感は消化の準備が整っているサイン
・ちょこちょこ食い、ダラダラ食いはNG
・決まった時間に、2~30分かけて食べる


食べる順番 
奉仕の医師は、王様がまず甘い料理を次に酸味と塩味のものを、そして食事の終わりに辛い物その他を摂るように注意してみていなければならない。 サトウキビの如きものは食事の最初にくうべく、決して最後に食べてはならない。 注 食事のはじめに食べる甘い食料は自らの胃の中のヴァータを抑えることになり、中間に摂られる酸味または塩味は、膵臓(agnyashaya)に宿る消化の火をかきたてる。そして終わりに食べる辛味はカファを抑える傾向がある。


ここで言う甘味とは、穀類、野菜(イモ類、かぼちゃ、ニンジン)、精製されていない砂糖、肉類、はちみつなどをさしています。
夕食後のデザートを止めるだけで体調は大分かわります。
私達の食事は単にカロリーを入れているだけではありません。プラーナと呼ばれる生命エネルギーもまた減っていくとアーユルヴェーダでは考えます。例えば、畑から摂れたての野菜をしばらく放置しておくと、ヒゲがのびたり、芽が出たりしますが、これは野菜の中にプラーナが多くあることの証拠です。このプラーナが多く含まれている食材をとることは、体だけでなく、心やソウルのレベルでの栄養になります。
・食前に生姜をかじる。
・スパイスを取り入れる。
・食後には渋い、辛い、苦いものをとる

お白湯を飲みましょう
食事の献立としては順次にうまくなるように皿を出すようにする。食事の経過中には口はしばしば洗ったり、うがいしたりすべきである。それは口蓋がかくして常に清潔にせられ、味が良くわかるようになり、その後で食べたものが何でも一層美味にぜられ、すべてが最上のひとくちのような快味を与えるためである。食事の初めに口蓋を甘い味で犯すと次の料理の味がわからなくなる。ゆえに口は料理と料理の感覚において洗わねばならない。甘い食物をよい味で食べると精神を愉快にし、歓喜、エネルギー、血から及び幸福を次々と生じ、身体の発育に寄与する。しかるにこれと反対のものはその結果も反対である。何度食べても味を覚えない食物はその人に好適(svadu)であると考うべきである。食事が終わったならばちょうど良い量の水を飲むべきであ る。歯に張り付いた食物は楊枝を使って静かにとらねばならない。しからずして放置すれば、一種の悪臭が口中に生ずるであろう。


・何かをしながら食べないで、ゆっくり味わうことで満足感を得る。


・複雑な話をしたり、ガミガミ怒らないで、食事に集中する。


・神様へのお供え物をするような気持ちで口へ運ぶ。

食後の過ごし方
それから食べた人は王様のように食事による倦怠の感が除かれるまで休息をとらなければならない。その後で彼は100歩歩き、床に入って左側を下に横たわる。食後は柔らかな音楽、快い歯科医および味、甘い香り、軟和な接触、短く言えば魂を恍惚たらしめ、精神を歓喜で包むようなものを楽しむべきである。 というのはかかる愉快な感覚は大いに消化の経過を助けるからである。 ざらざらしたりギーギー言う音、憎々しい視界、固くて不快な触覚、腐った不快な臭いなどが食後にあるとき、または不純な呪うべき米飯を食べ、あるいは大声に腹を抱えて笑うようなことは後で嘔吐を起こすものである。 食後の昼寝は、長時間続けてはならない。火の前で温まること、太陽への暴写、旅行、車行、入浴、水泳などは、満腹の食事の直後は避けるべきである。 
その他、消化不良を起こす原因
・水を過量に飲むこと


・不規則な食事


・身体の自然の欲求を意志により抑圧すること  自然の欲求とは、(排便、排尿、ガス、射精、涙、空腹、喉の乾き、げっぷ、あくび、睡眠、嘔吐、くしゃみ、過剰な活動に伴う深くて速い呼吸の欲求) 


・昼間寝ること


・夜更かしすること


・強い食欲にて軽い食事をとること


・嫉妬、欲望、貪欲、怒りなど


・慢性の不調を患っている人


アーユルヴェーダで勧められている食材 
①蜂蜜(高温注意、ダイエット効果)




③牛乳


④長コショウ


⑤にんにく
① 蜂蜜は高温になると体内で毒素に変わります。甘みですが、ダイエットに効果があります。
② ギーは体の中に代謝されるときに、いっさいの不純物を発生させないで代謝される油で、目と知力によく、抵抗力、意志力、精神力が強くなり、いつも穏やかでいられる。ギーを毎日食べることで精力を高める効果があるので、健康維持・増進には欠かせないといいます。いつも酒を 飲む人、頭脳労働をする人、性行為を頻繁にする人、脂質が少ないことで便が硬く乾燥して出にくい人にとっては、とても良い食材です。(カパには向かない)
③ 牛乳は食べ合わせに注意が必要で、魚、酸味(果物、酢)、塩、大根、にんにく との食べ合わせが悪いので、できるだけ単体で温めて飲みましょう。未消化物やアレルギーの原因となり、目や皮膚、精神的な病気、動脈硬化など生じ、老化を早めます。
④ 長コショウは強壮、強精剤としての効果があります。細胞の代謝機能を促進し、若返りをもたらします。肥満、アレルギー性の喘息、リウマチ、呼吸困難、肝炎、糖尿病に効果あり(ピッタには向かない)
⑤ にんにくは痩せている人に向いています。下痢気味、怒りっぽい人は控えましょう。長コショウと同じく、細胞の中の酵素の働きを良くし、消化を助けます。関節の痛みを止めるので、リウマチにも応用できます。胃腸に溜まったガスを取り除き、心臓や肺の働きも良くします。
黒砂糖、牛乳、日に当たること、怒り、水の飲み過ぎ、と相性が悪い。
健康の維持はドーシャのバランスを維持する事によって可能となり、ドーシャのバランス維持は正しい食事、正しい生活習慣、規則正しい睡眠などによって可能となるからです。


参考図書

アーユルヴェーダの強壮学 クリシュナUK