血圧とは、血管の中を流れる血液が血管の壁を押し広げる力のことで、血液が血管壁を押す力が強くなればなるほど、血圧は高くなります。
高血圧は、身体に様々な悪影響を及ぼします。血管に常に高い圧力がかかることで血管壁が厚くなり動脈硬化になり、それが脳血管障害、心臓疾患、大動脈瘤、腎硬化症などの生活習慣病を引き起こす引き金となります。
120/80mmHg未満(家庭血圧115/75mmHg)が正常血圧です。これ以上高くなると高血圧と称して食事などの生活習慣の改善が求められますが、血圧だけでリスクは判断されず、年齢が65歳以上、男性、喫煙、脂質異常症、糖尿病を罹患しているなどの条件により危険度を計ります。
高血圧は、何らかの疾患が背景にある「二次性高血圧」と、ストレスなどの様々な因子が重なることで起こる「本能性高血圧」に分けられ、後者が90%だと言われています。
「本能性高血圧」の原因は、遺伝、加齢、肥満、塩分過多、喫煙、飲酒、運動不足、ストレスなどです。
さて、アーユルヴェーダでは高血圧をどのように捉え、対処するのでしょうか。
血液は心臓から押し出されて全身に巡るので、高血圧は「心臓」と深く関わりのある病として捉えられています。
アーユルヴェーダは「心臓はちょうどテントの中心支柱のようなもので、それが損傷すると失神し、それが破れると死に至る」と言います。なぜなら、意識も生命もそこに依存するからです。また、精神も心臓に集中し、オージャス(活力素)が位置するところなので最も重要な部位なのだと説明しています。
精神が宿る場所であるから、心臓は感情と深く関わりのある臓器だと言えます。心臓は人間の思い込み、人生観、気持ち、情動(怒り・恐れ・喜び・悲しみなど)を作るものであり、またこれらに左右されるものです。
ですから、高血圧を含めた心臓の病は、ただ単に生活習慣から発生するのではなく、精神の持ち方が大きな影響を与えるのです。
アーユルヴェーダでは、高血圧を3つのタイプに分類しそれに合わせた対処をします。
<ヴァータ性の高血圧>
働きすぎ、緊張、寝不足、心配などで上昇する高血圧、脈拍が不規則で血圧も不安定で神経系に関わる症状
〜対策〜
ニンニク、グレープフルーツ、レモン、アシュワガンダー、ブラフミー、トリファラ、アロエ、ナツメグ、シナモン、サフラン、ショウガ、ひまし油、キュウリ
断食をしない、ストレスを減らす、タバコ・酒を控える
ヨーガの坐法、呼吸法、瞑想、ぬるい湯にゆっくり長く浸かる、全身のオイルマッサージ、シローダーラー、早寝
<ピッタ性の高血圧>
赤面、充血、頭痛、日射に敏感、鼻血、怒りやすい、灼熱感などの症状が見られ、血液組織や肝臓が原因で見られる高血圧
〜対策〜
ギー、ぶどう、干しぶどう、ココナッツ水、きゅうり、スイカ、アロエ、古米、ムング豆、ターメリック、ハチミツ、アーマラキー、カルダモン、サフラン、トリファラ、白檀、樟脳、ベチバー、インドアカネ、インドサルサ
完璧さを求めない、競争しない、酒などの発酵食品を控える、タバコを控える
瞑想、呼吸法、シローダーラー、良い香り、月光、真珠、涼しい風、噴水、湖や池、砂浜など涼しい水辺、庭、公園、心を落ち着かせること、無邪気で心地良い子供の声、落ち着かせる音楽
<カファ性の高血圧>
肥満、高コレステロール、むくみ、腎臓が関与する高血圧
〜対策〜
グッグル、シラージトゥ、ショウブ、アロエ、ターメリック、ハチミツ、トリファラー、ショウガ、シナモン、ナツメグ、サフラン、ムング豆、古米、大麦、押し麦
安静な生活と昼寝を避け、食後すぐ寝ない
気持ちの良い運動、早寝早起き、ぬるめで長い入浴、ガルシャナ
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