アーユルヴェーダにおける飲酒

飲酒をする上で大切なことは、体質季節を考慮することです。

 

・ヴァータ体質

オイルマッサージを受け、温かい湯に入ってから良い香りのローションなどを付け、油分の多い温かい食事を食べつつ、ヴァータを緩和するような酒、例えばキビ酒や穀物酒を飲むのが健康に良い。酔いの第一段階(爽やかで陽気な気分)を超えてはいけない。第2段階とは、抑えられていた感情や欲望が爆発的に現れ、善悪の判断ができなくなり、話すべきでないことを話したり、声が大きくなり、何度も同じ話をする、更に進むと、道徳に反する行為をしたり、妄想が現れる。

・ピッタ体質

飲酒する前にぬるま湯か水で体を洗い、涼しい環境で、甘味があり、薄味の、油分の多い、冷たい食事をとりながらの飲酒が勧められる。酸っぱいものをいっぱい食べた後の飲酒は有害。酒はすぐにピッタを増加させるので、ピッタ体質の人は最も注意を要します。アルコール度数の弱いぶどう酒を水と共に涼しい環境の中で飲むことが適している。ピッタの人は酒を薄めて飲むか、むしろ断酒が勧められている。

・カパ体質

温かい麦料理と、体を太らせないような肉(乾燥地帯の動物)を塩・胡椒で味付けしたものを食べながら、蜂蜜酒を飲むことが勧められている。

飲酒の五箇条

①  飲酒は食事と共に (ヴァータ:食事中 ピッタ:食後 カパ:食前)

  油分の多い食事や肉類と共に飲酒する (毎日飲酒する人は毎日肉スープを飲む)

  夏・秋は飲酒を控える (どうしても飲みたいときは水で薄めて少量飲む)

  楽しい雰囲気の中、喜びの気分で人々と一緒に(恐怖、悲哀、怒り、孤独な時は飲まない

  爽やかな気分、陽気になる、皮膚が赤くなる程度で飲酒をやめる。(360cc程度、ビール中瓶1本、日本酒1合、ウイスキーシングル2杯)

 

 

アーユルヴェーダでは、体を構成している要素から生じるごくわずかなエッセンスのことをオージャスと呼びます。体のあらゆる機能はこれによって起こり、オージャスがあると命があり、オージャスがなくなると命がなくなると説明します。生物はオージャスによって生命力や輝きを与えられていると考えているのです。

アーユルヴェーダでは、酒は毒と同じ性質を持つもので、オージャスとは正反対の性質を持つものとして位置付けています。

 

しかし、「薬にならないものはない、しかし何にでも効くという薬はない。使い方を正しく知って、正しく使うことによって薬は効力をあらわす」とも言います。

ですから、たとえ毒であっても知識を持って正しく使えば、健康に良い影響をもたらすこともあるということです。

雪山で遭難した人を救助する犬がいますが、遭難した人がウイスキーを飲むために首にウイスキーを付けられています。酒は体の熱を一気に上げるものなので、冷えた体を温める薬になるという訳です。

 

一方で、精神修養を望む人は完全に酒を避けるべきだと説明しているのは、酒は精神の正常機能を麻痺させ、精神的な成長を妨げるものだからです。

嫌な気分を紛らわすために飲んだつもりでも、私たちに本来備わっている問題の処理能力が酒によって低下する為、本質的に何も解決していないどころか解決に余計な時間がかかり、長期的に見れば健康を害し、また別の問題が生まれてしまう可能性すらあります。

「ハッピーアワー」の看板を見て初めてバーに入った時は、自分の意思で入ったのに、いつの頃からか看板を見たら勝手にあなたの足はバーに向かうようになります。気がついたら「あなた」ではなく「お酒」に主導権を握られていた。なんてことがないようにしたいものですね!