私たちが何か知識を得る時、その知識を明かすための道具が必要です。

その知識の道具のことをサンスクリット語で「プラマーナ」と呼びます。

ヴェーダはプラマーナです。

「望む結果を得るためには、どのような行いをすれば良いか」の知識を得る道具です。

プラマーナには6つあり、1つのプラマーナで得られる知識は、他の種類のプラマーナでは得られません。

 

① プラッテャクシャ

耳、肌、目、舌、鼻の5つの感覚器官。知覚。直接の知識と呼ばれ、これ以外のものはプラッテャクシャ(五感)をもとにして得られる間接の知識です。

例:彼の肌は赤みがかってる。彼女の声はかすれている。赤ちゃんの肌はしっとりしている。

② アヌマーナ

推理。人生経験を通して得た記憶と繋がり推理されること。最初に五感を使って知覚した後、記憶が湧いてくるので直接ではなく間接の知識と呼ばれます。

例:彼の容姿を見て年齢を推理する。脈拍を測って健康を推理する。食べ物を臭って腐っていると推理する。

③ アルタパッティ

推測。ワンステップ進んだ推理のこと。間接の知識。

例:母は太っているが、私は母が過食しているところを見たことがない、そして母は鼻炎を患っている。これらいくつかの事実から、代謝が悪く詰まりやすい体質であるということが推測される。

④ ウパマーナ

たとえ話。間接の知識。

例:サイを見たことのない人が「灰色の鎧を着たような角のある四足動物だ」と聞いてサイを知る。私たちが「知っている」と言うほとんどの知識がウパマーナかも知れません。

⑤ アヌパラブディ

無いことを知る。間接の知識。

例:冷蔵庫を開けて牛乳が無いことを知る。鏡を見てニキビがないことを知る。

⑥ シャブダ

言葉。間接の知識。

言葉は独自の意味を持った音です。日本語は私に沢山の知識を起こしますが、ドイツ語を知らない私にとってドイツ語はただの音です。ヴェーダはシャブダプラマーナ、言葉によって知識が明かされます。サンスクリット語で書かれた原典とその意味を正しく明かす先生が必要です。

他のプラマーナでは知ることのできない知識が明かされます。つまり、感覚や推理など人間が持って生まれたプラマーナでは宇宙のほんの一部しか知ることはできませんが、人間の考えや五感が及ばないエリアを明かすのがヴェーダです。

証明はできないけれど、他のプラマーナと矛盾する事なく、現実で起きていることとつじつまが合います。

例えば、たった400年前の人は地球が丸いとは知りませんでした。地球は平らで太陽が動いていると思っていましたから、まさか地球が丸くて自転して太陽の周りを回っているなんて信じることはできませんでした。

今のようにスペースシャトルに乗って宇宙から地球を見ることはできないので、地球が丸いことは直接証明することできませんでした。実際に私も地球が丸いかどうか直接見たことはありません。しかし、ガリレオの理論は現実で体験していることと矛盾することなく辻褄が合っていたので受け入れられました。

ヴェーダは「知識」という意味です。ヴェーダの文明には宗教や科学という言葉はありません。知識は「リアリティ」です。

 

 

Namaskar  to Swami Chetanananda Sarasvati