消化について…

 アーユルヴェーダでは、「未消化物 アーマ」という毒素のようなものが、身体に蓄積し、様々なからだの管(血管、リンパ管、消化管、経絡など)を詰まらせ、病気の原因になると考えます。

 食後すぐの運動、入浴、睡眠、性行為は「未消化物 アーマ」を作ります。

 食べ過ぎや嫌いなものを食べること、食事中や食後に精神的な苦痛を受けることでも「未消化物 アーマ」は作られます。運動などは食後3時間はあけて行うか、食前にします。

 食事のリズムは、胃腸を休めるのにとても大切なので、ちょこちょこ間食、ダラダラ食べ続けると、胃腸が休まらず、便秘や下痢になることもあります。

 消化力(アグニ)の弱りやすい夏は、脂っこいものを控え、負担の少ない食べ物を選び、その土地で取れた旬のものを食べるように勧めています。

 食事の前に消化力を上げる生姜を取るなど、アーユルヴェーダでは、とにかく消化力 (アグニ)が鍵になります。

 消化の火を絶やすな!!と言って、消化力(アグニ)を火に例えます。

 
 火の勢いがない時に、大きな薪をくべても、薪は燃え切らずに残ります。消化力に合わせた食べ方を…

 1日の中でも、朝は消化力が弱いので、少なめにして、昼は消化力があるので、しっかり食べ、デザートを食べるならこの時に食べます。夜は朝と昼の間くらいの分量にする、などして消化力に合わせて分量を調整します。

 

 暖炉に隙間なく薪をくべては、風が通らずに火が勢いよく燃えませんね、食べ過ぎ禁物です…

 何かをしながら食べると、味わうことを忘れ、満腹感や満足感が減り、食事の量をコントロールすることが難しくなります。

 まるで犬のしつけのようですが、同じ時間に同じ場所で食べることで、食欲のコントロールができるようになり、間食が減るそうですよ。

 小腹がすいて何か食べたくなったら、まず白湯を飲んでみることで、食欲が治まります。

 朝一番の白湯は消化力(アグニ)をあげ、内臓の機能を活性化するそうです。便秘にも効果があり、美肌につながるようです。

 夏は冷たいの飲み物を一気に飲みたくなりますが、むくんだり、内臓に負担がかかります。アーユルヴェーダでは白湯を勧めています。お茶には渋みがあるものもあり、収斂作用による刺激になることもあります。

火は風によって勢いを増します。ここでの風は、運動の意味だそうです。いただいた分だけ、エネルギーを還元しましょう。

 

 アーユルヴェーダでは、何を食べるかよりも、どう食べるかに重きを置いているんですね。

 そして最後に、食事は、何より満足感が大切なので、健康に良いからといって嫌いなものを食べると、その嫌悪感が消化力を下げてしまうので、大人になったら嫌いなものは食べなくて良いそうですよ。

 ちなみに、アーユルヴェーダでいう大人とは、30歳を過ぎてからだと聞きました。

 
 ここまで、食事の未消化物についてでしたが、アーユルヴェーダでは、心の未消化物も溜めないことが大切だと言います。

 なんだか、こちらの未消化物の方がタチが悪そうな感じがしますよね。

 心の未消化物を溜めすぎないためには、

 

頑張りすぎない、気持ちを文章にする、美しいものに触れる、運動…が良いそうです。

 過去の出来事にこだわり過ぎて、思い出しては何度も落ち込んだり、怒ったりと、感情や気分に連れ去られやすい人は、ヨーガの瞑想がオススメです。

 深刻になり過ぎずに、ありのままの出来事を、中立で平等な見方で、事実として受け止められます。

 起こる出来事が自分の理想通りのことでなかった時、自分の感情や気分が激しく揺れても、それに連れ去られて、過剰に落ち込んだり、過剰に喜んだりしなくなり、切り替えが上手になります。

 無感情な人間になるとか、感情を押し殺して「無」になるというわけではありません。

 

 感受性はより豊かになります!

 

 思いやりや優しさを、自分に溢れさせることができるようになることで、心地よい人生を送ることができます。

 

 自分自身に落ち着けている人は、与えられた個性や人生を思う存分に発揮して、与えられた分、与え返すことができるのかな…

 

 与えられていることに気がついたなら、与えることの喜びが湧いてきます。

 

 与えられることに感謝の気持ちがもてたなら、優しさや思いやりでしか返せません。

 

 それぞれが、溜め込むことなく、持って生まれた特技や能力を、全体の調和に還元することで、心の満足感を得られますように。

 
参考図書 はじめてのアーユルヴェーダ HIKARU